6/20/2010

「もったいない」はモッタイナイ

モノを大事に使うのは結構なことだと思うし、大切なモノをきちんと保管して残しておく、なんていうのも全然悪いことではありませんよねぇ。そもそも当店で販売している古時計の多くはそんな風に誰かが丁寧に使ったりしてきたからこそ今でも現役として使用出来て、なおかつ今後も長く使っていける可能性を持っているわけですから、そう考えるとモノを大切にするってことはあらゆる面で大事なことのように思えてきます。

でも、何かを長く使っていこうなんて思っていてもそれがわざわざ大事にするほどのモノじゃなかったり、大切に保管しているものがそれに値しないようなモノだったりしたら、果たしてそれは意味のあることなのでしょうか?ちょっと疑問に思えるところもあります。

つい最近PCを新しく購入しました。基本的にはデスクトップ派でしたが、今回はノートPCのそこそこのスペックのモノを手に入れてちょうど使い始めたところです。ついでにだんだんと不満を感じていたプリンターも新しいモノに買い換えたのですが、それはまさに今朝のこと。開店前、毎度おなじみ渋谷のビックカメラへ寄り、狙いを定めていたプリンターを迷わず買いました。スキャナー付きでコピーも出来て、WiFi接続も可能なイマドキのタイプです。今まで使っていたモノは何年前に買ったのかすら覚えていないくらいだし、大体動作はやたら遅くてイラつくし、そのくせインクは結構な金額だったりするので、だいぶ前から買おう買おうとは思っていました。

でも、今まで使っていたものが壊れてしまったわけではないんです。おかげでつい「まだ全然動くし、もったいないよなぁ」なんて思ってしまい、今までついついタイミングを逃していたのです。今朝買ってきた新しいプリンターを早速つないで設定してみると速いのなんの。今までのノロノロした動作のプリンターは原始時代のモノかというくらいの違いです。おまけに機能だって山盛りだし、今まで別々だったスキャナーまで一緒になっているわけですから、実際にちょっと試しに使ってみただけでも、なんというかほとんど目からウロコでした。

「あぁ、何を理由にこんな中途半端に古いだけの機械を馬鹿丁寧に大切ににしてきたんだろうか」とちょっと後悔するほどでした。とにかく、今後はだいぶ利便性が良くなりそうです。今まで使っていたプリンターとスキャナーは当然ながら処分することになりますが、実はこれが今ひとつ買い換える気分になれない理由のひとつでもありました。捨てるためにはお金がかかる。しかも、捨てようとするモノはまだ使えるわけで、このことを考えると結局「もったいない」になってしまうわけです。

でも、今回あらためてよく分かりました。なんでもかんでも大事にすればいいってもんじゃないと。元来モノが捨てられない性分でしたが、訓練を重ねた結果、以前よりはわりと思い切ってなんでも捨てられるようになってきました。今回はプリンターとスキャナー、ついでにモニターも捨てることを決意しました。このモニターは代官山で営業するようになってそれほど経っていない時に買った記憶がありますので、かれこれ9年くらい使っていたことになります。ホントは一昨年店をリニューアルした際に処分しようかと思っていたのですが、「これ確か7万円くらいしたんじゃなかったっけ?」なんてセコイことを考えてしまい、結局その後も使い続けていました。

確かに壊れたわけでもないのに捨てるのは忍びないのですが、ここは心を鬼にして今回は本気で捨てます。大体液晶の大型モニターがだいぶ安くなっていることを考えたら、バカでかいブラウン管にこだわる理由はまったくありません。大体ウチの店だってそんなに広いわけじゃありませんからねぇ。狭いスペースを有効活用するためにもそれなりに意義があるはずです。

あらためてこのいくつかの使い込んだPC周辺機器を見るとアンティークでもなければ、ヴィンテージでもない、そんなどうにもならない微妙な古さだということがよく分かります。少なくともテクノロジーの進化を考えたら、今後値打ちが上がる要素はほとんどゼロです。これでもしデザイン性が高く、仮に著名なデザイナーが手がけたなんていうプラスアルファが加わったら話は別ですが、そんなことないですしねぇ。ちなみにこの「ハッピーハッキング」という名前のキーボードはテンキーがない、かなり小型のモノで、キーを打った時の感触が好きで長年愛用しています。場所もとらないし、慣れると結構便利なんです。このキーボードはかなりこだわって使ってきていまして、実はもうひとつ持っていることもあり、ついでに捨ててしまおうかとも思いましたが、それほど邪魔なモノでもないので、これは残しておくことにします。

ところで、「もったいない」という言葉は日本独自のもので、他の国の言語には同じような意味やニュアンスを持った言葉がない、なんていう話を聞きますが、ホントはどうなのでしょうか?でも、今ただひとつ言えるのは「もったいない」を呪文のように自らに言い聞かせると損をすることがあるとでも言ったら良いのでしょうか。場合によっては「もったいない」なんてことを言うことがモッタイナイなんて時もあるかも知れません。少なくとも携帯電話や家電、パソコンなどに関しては古いモノを大事に使い続けるのが良いことだとは言えないような気がします。とはいえ、なんとなくただ捨ててしまうのにはやっぱりちょっと胸が痛みます。


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