10/19/2014

秋の夜長の分解掃除

すっかり日が暮れるのが早くなりました。普段はたいして忙しくない当店ですが、土曜日や日曜日は平日と比べると修理関連のご相談など、ナンダカンダで来客が多かったりします。ちょうど気候も良い上、今日も晴天に恵まれたせいか、日中はわりとお客様が続きましたが、薄暗くなってきてからはやけに静かな代官山です。そんなワケでじっと机に向かってます。

暑さで汗や湿気を気にする必要のない季節に入ったおかげで、気兼ねなく古時計を着けることが出来るという点ではちょうどこれからがシーズンって感じかも知れません。そのせいか、近頃また修理のご依頼が増えてきています。

そんなこんなで、年末に向かって修理関係はなんとなく少しずつ忙しくなりそうな気配を感じる今日この頃ですが、実際ご依頼いただいた時計が徐々に溜まり始めています。オーバーホールについては順番に作業を進めますが、それなりの期間お預かりすることになりますので、あらかじめご了解下さい。




こんな秋の夜長はベタにビートルズが聴きたくなりました。モノクロの映像が時代を感じさせますが、曲そのものは全然色褪せません。この当時のビートルズは完全なモッズスタイル。ちょうど50年経った今見てもカッコいいですねぇ。

それにしてもリンゴは左手首に腕時計を着けているようですが、ドラムの演奏の際は外した方が絶対イイですよねぇ。フツーにスネアを叩いている様子を見ると「時計は外してポケットにでも入れておいてよ~」なんて思ってしまいます。「耐震機構が備わっていればまだマシだけど・・・」なんて、イチイチそういうところを気にしてしまうあたり、ワタクシやっぱり時計屋なんでしょうねぇ。。。






10/17/2014

A Omega With Great Patina

すっかり秋ですねぇ。ここのところ実にいい気候なのですが、もう朝晩は寒くて基本バイク通勤のワタクシにはだんだんしんどい季節になってきました。日中は日差しさえあれば結構暖かいので、今ぐらいの時期にバイクでツーリングなんて気持ち良さそうです。

ところで、昨日ウチの店のサイトに一本のオメガをアップしたのですが、それはご覧いただきましたでしょうか?正直お世辞にもキレイとは言えない文字盤で「汚っねぇ文字盤だな!」なんて思う方もいるでしょうけど、よくよく見るとなかなか味のある風合いがあることに気づきます。日に焼けて変色した文字盤には細かい点々も出ているので、そこを気にしてみると気になってしまいますが、十字のラインが入ったスタイルに特徴のあるラグのデザイン。なかなかの雰囲気です。

単にボロい時計だと思えばそんな風に見えますが、ひとつひとつコンディションが異なる年代物ならではの一点物的な面を考えるとこれはこれで実に味があって、ヤレた感じが堪らなく思えてきます。このオメガ、ムーヴメントの状態だってかなり良い上に結構由緒正しいワンオーナーもので大事に使われてきたものだったりします。

ただの古い時計だと思うか、それとも特別な一本だと思うのか・・・それは人によって様々です。抜群のコンディションのものが一番良いに決まっていますが、一方でどこか経年変化を感じされるフィーリングも大事だと思います。どちらかというとワタクシ自身はほど良くヤレた年代物らしい雰囲気を醸し出したものの方が好みです。ふとあらためてそんなことを考える今日この頃です。。。




10/07/2014

Ordinary Wrist Watch

昨日は台風18号が直撃したため、いつもよりだいぶ遅れて14時の開店となりました。前日からかなりの雨でしたが、台風の速度が速かったせいか、あっという間に台風一過となりました。台風が空気をキレイにしてくれたような感じで、今日もスカッと晴れてくれて実にイイ気分です。

ところで、イイ感じの古時計がますます集めづらくなってきているのを実感している今日この頃です。特定のブランドに限った話ではないのですが、オリジナル性、コンディション、雰囲気の良さといった重要なポイントをしっかり押さえたものがどんどん減ってきています。まぁ、そもそも減る一方の古時計の世界ですから、これはなにも今始まったことじゃないのですが、それにしてもフツーに良いものをずいぶんと見かけなくなってきていて、結構切実だったりします。



この画像のオメガは少し前に店頭で販売したもので、ご購入下さったお客さまにお願いして手首に着けた状態を撮影させてもらったのですが、こんなフツー過ぎるくらいフツーのオメガだって10年前と比べるとだいぶ少なくなってきている印象です。手巻き式で、いわゆる30mmキャリバーを搭載した1960年代前半くらいのもので、ステンレススチール製のケースは非防水のスナップバック。それなりに小傷だってありましたが、これはオリジナルシェイプがしっかり残っていました。肝心な文字盤だってうっすら経年変化を感じさせるような状態ではありましたが、実に自然な風合いでした。

さんざん物凄いアンティークウォッチを見てきたツウの人達から見たら、たいして魅力ないような時計かも知れませんが、このオメガのようなフツーの腕時計をもっとフツーに使ってもらいたいとつくづく思います。どれもが一点物の古時計の世界ではありふれたように見える時計だって実際はとても特別な一本ですからねぇ。珍しさや値段だけじゃありません。一見フツーなんだけど、雰囲気が良くてコンディションも良い。そんな時計をこれからも紹介していきたいものです。。。