さて、今回は先日オーバーホールのご依頼でお預かりした時計のことを少々ネタにさせていただきたいと思います。ご覧のオメガはシーマスターのクロノグラフで、ムーヴメントは初期のスピードマスターでもお馴染みの"Cal.321"を搭載したモデル。いわゆるコラムホイール式が採用された年代物らしい特徴を持ったクロノグラフのムーヴメントで、アワーレコーダーがついた三つ目のタイプの中ではバルジューの"Cal.72"やヴィーナスの"Cal.178"などと並んで何かと評価の高い代表的なモノのひとつです。
のちに登場するカム式よりもクラシックな風情があり、部品の点数が多かったりすることから、一般的にはピラーホイールのある昔ながらのクロノグラフの方に注目が集まるようなところもありますが、個人的にはその辺のこだわりはなく、カッコ良くて状態が良ければどちらでも良いんじゃないかなんて思っています。
それはともかく、今回メンテナンスのご依頼をいただいたこちらのシーマスター。どのような経緯で入手したものなのかとか、その辺りも含めてご持参下さった方にいろいろとお話をうかがうと元々はおじいさんが持っていたものだそうで、しかもそのおじいさん自身がかつて新品で買ったものだというお話でした。
そんなおじいさんの自慢だったこのオメガ。長い間、どこにしまってあるのかすら分からない状態だったそうですが、最近になってようやっと見つかったとのことで、ウチの店へオーバーホールをご依頼下さったというワケです。
相当長期間ほったらかしだったものと思われ、風防の激しい傷の他、ケースのサビも酷く、文字盤はなかなか年季の入った状態でお世辞にもキレイとは言えないコンディションでしたが、幸いにもムーヴメントは十分な状態が保たれていました。下手に何度もメンテナンスされていたり、さらに作業に問題があったりするとムーヴメント全体に細かな傷が増えたり、ヒゲゼンマイがおかしな状態になっていたりなんてこともありますが、このオメガはまったくそのようなことはありませんでした。
裏蓋の内側にサインがあったので、恐らくこれまで1~2度くらいはオーバーホールされていたんじゃないかと思います。一部サビなどもありましたが、状態そのものはかなり良好でした。いわゆるスナップバックケースですが、裏蓋にパッキンが入る防水タイプだったことが幸いしたのでしょうか。いずれにしても致命的なダメージはなく、今回の整備ですっかり蘇りました。
それにしても1960年代前半当時、海外へ行く日本人がどれだけいたのでしょうか。東京オリンピック開催前の高度経済成長期で活気に沸いていた時代だったかとは思いますが、まだまだ現在のような豊かさとは程遠い状況だったでしょうし、何より1ドル360円の時代ですから、とんでもない高額品だったことは言うまでもありません。そう考えるとこのオメガがこんな風に現在まで残っていたことがとても有り難く感じられます。まぁ、ワタクシのものではありませんが。。。
いずれにしても見た目的にはそこそこヤレている印象ではありますが、見れば見るほどとても味のあるシーマスターのクロノグラフ。どういう歴史を持った時計なのかといった話を聞くとますます魅力的に見えてきます。今回ひと通りオーバーホールして絶好調になりましたが、風防も交換し、お返しの際はご覧のような新しい革ベルトを取り付けて見事に生まれ変わりました。ケースの傷みが結構すごかったので、汗や湿気には注意が必要ですが、是非これから大切にお使いいただきたいですねぇ。
のちに登場するカム式よりもクラシックな風情があり、部品の点数が多かったりすることから、一般的にはピラーホイールのある昔ながらのクロノグラフの方に注目が集まるようなところもありますが、個人的にはその辺のこだわりはなく、カッコ良くて状態が良ければどちらでも良いんじゃないかなんて思っています。
それはともかく、今回メンテナンスのご依頼をいただいたこちらのシーマスター。どのような経緯で入手したものなのかとか、その辺りも含めてご持参下さった方にいろいろとお話をうかがうと元々はおじいさんが持っていたものだそうで、しかもそのおじいさん自身がかつて新品で買ったものだというお話でした。
ガゼン興味津々でもう少し詳しくお話をうかがうと、1960年代ある大きな企業に勤めていらしたそのおじいさんは出張でアメリカへ行ったことがあったらしく、その時に入手したのだというお話でした。ムーヴメントのシリアルナンバーから1950年代後半の製造だと思われますが、1960年代前半頃に渡米して購入したのだとすれば、なんら違和感はなく、むしろ実に自然です。
そんなおじいさんの自慢だったこのオメガ。長い間、どこにしまってあるのかすら分からない状態だったそうですが、最近になってようやっと見つかったとのことで、ウチの店へオーバーホールをご依頼下さったというワケです。
裏蓋の内側にサインがあったので、恐らくこれまで1~2度くらいはオーバーホールされていたんじゃないかと思います。一部サビなどもありましたが、状態そのものはかなり良好でした。いわゆるスナップバックケースですが、裏蓋にパッキンが入る防水タイプだったことが幸いしたのでしょうか。いずれにしても致命的なダメージはなく、今回の整備ですっかり蘇りました。
それにしても1960年代前半当時、海外へ行く日本人がどれだけいたのでしょうか。東京オリンピック開催前の高度経済成長期で活気に沸いていた時代だったかとは思いますが、まだまだ現在のような豊かさとは程遠い状況だったでしょうし、何より1ドル360円の時代ですから、とんでもない高額品だったことは言うまでもありません。そう考えるとこのオメガがこんな風に現在まで残っていたことがとても有り難く感じられます。まぁ、ワタクシのものではありませんが。。。
いずれにしても見た目的にはそこそこヤレている印象ではありますが、見れば見るほどとても味のあるシーマスターのクロノグラフ。どういう歴史を持った時計なのかといった話を聞くとますます魅力的に見えてきます。今回ひと通りオーバーホールして絶好調になりましたが、風防も交換し、お返しの際はご覧のような新しい革ベルトを取り付けて見事に生まれ変わりました。ケースの傷みが結構すごかったので、汗や湿気には注意が必要ですが、是非これから大切にお使いいただきたいですねぇ。
オマケ 出ました!クロノグラフの顔。
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