
例えば、文字盤の雰囲気が良くてもケースがダルダルのツルツルだったりしたら、NGと判断するかも知れませんが、もしその代わりにそれが相当安く入手出来るのであればだいぶ話が変わってきます。そんな風に全体的なバランスを見て、出来るだけ短時間に考えて結論を出さなければなりません。オリジナル性は重視しつつも、どこかで譲歩することも必要だったりします。これまでの経験で言えば、何十年も前のものに完璧は求められません。人間だって誰にでも欠点ぐらいあるもので、完全無欠な人はいません。必ず長所、短所があるもの。それとちょっと似ているかも知れませんねぇ。
仮にあるモデルの美品がたまたまタイミング良く見つかったとして、残念なことにリュウズがオリジナルのものではなかったとします。リュウズに特徴があり、そのオリジナル性が大事な時計だったとしても、もしその時計のリュウズ以外の部分の状態が抜群に良かったとしたら、それはOKかも知れません。そんな時はリュウズだけ入手出来る可能性があるのかどうかなんてことも考えてみます。そんな風に全体のバランスを総合して入手するべきか、そうではないのかを判断するワケです。
文字盤の状態なども「自然な経年変化による味」と捉えることが出来るのか、あるいは「単に汚いだけ」と捉えるのか、そのあたりはあまりに感覚的な部分なので、具体的にどうとは言えませんが、とにかくそういった点も踏まえて判断しなければなりません。いずれにしても外装、文字盤、ムーヴメントは三位一体。原則的にそのどれかに重大だと思われるマイナス要素があってはマズイのです。

そんなこの時計。ケースも風防も文字盤も針もちゃんと付いていますが、とてもお見せ出来るようなシロモノではありません。正直かなり汚い!ケースがステンレススチール製だったせいか、たまたまムーヴメントそのものはご覧のように十分な状態を保っていました。とても売り物に出来るレベルではありませんが、直観的にこれを手に入れないワケにはいかないと思ってしまいした。
このムーヴメントは店頭でご覧いただけるようにとりあえずこのままの状態でどこかに飾っておこうかと思います。どんなに酷い文字盤なのか、興味のある方はお声をかけて下さい。きっと見たらビックリしますよ!
Horol International
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