早いもので、今日で10月も終わりです。ホントにいつも同じようなことばかり書いていますが、今月もあっという間でした。ヒマなようで、実は何かと忙しい毎日を過ごしていると時間の経過はただただ光の速さのようにすら感じます。
ところで、ちょっと前にウチの店のサイトにアップしたブローバの角型時計はご覧いただきましたでしょうか。いわゆる「角金」ってやつです。ケースはメッキだし、特別珍しいものではありませんが、あえて話題にしたいと思います。
一般的にはまったく有り難く思われないジャンルの時計ですが、あまり値段に反映されないっていうだけでこういうモデルも実際はこの世にひとつしかないモノホンのアンティークウォッチであることに変わりありません。ある意味では100万円、200万円する高額なモデルとまったく一緒なのです。特に角型の時計はケースがデリケートなので、汗や湿気、埃などの影響を受けやすく、状態の良好なものが極端に限られます。なので、オリジナル性が保たれたものは今や結構貴重だと言えます。
アメリカの製品はなんでも大雑把だとか、そもそも作りが悪いなど、良いイメージを持っていない人も多いかも知れません。料理は大味だとか、衣料品なんかも縫製が悪いとか、人はみんなテキトーだとか、そんな印象もなくはありません。実際ワタクシもちょっとそんな風に捉えています。しかしながら、時計製造についてはその辺がちょっと違います。
その昔、アメリカでは大陸のスケールの大きさゆえに鉄道の発展が国の発展にとっても大変重要でしたが、その影には米国生まれの時計メーカーの力も大きかったと言われています。ポケットウォッチの世界ではおなじみの鉄道時計。アメリカの時計産業の発展と鉄道の歴史は切っても切れないものだったワケです。大きな発展を遂げた鉄道と時計の世界。アメリカならではの歴史的背景があり、スイスとは異なる方法論で成長しました。
合理的に量産し、さらにメンテナンスしやすい作りになっている点だけでなく、見た目的にムーヴメントの仕上げもさほど凝っていないせいもあってか、今日の古時計の市場では評価に繋がっていないようですが、一方でとても工夫されている部分もあります。この画像のモデルをはじめ、古いブローバは石数を増やし、受石(蓋石)を設けることでオイルがより長く良い状態を保てるように考えられています。
これはアメリカの時計メーカーでは最も評価されているハミルトンでも見られないブローバならではの特徴で、本来であればそこはもっと注目されても良いのではないかと思います。前述のように角型ケースは外部からの様々な影響を受けやすく、オイルが劣化したりしやすいというマイナス面もありますが、それを補うために工夫されているワケです。15石程度のベーシックなものでも十分なのですが、他社との差別化を図るためにこのような仕様のムーヴメントを多く手がけていたのではないででしょうか。どちらかというと普及品かも知れませんが、そんなモデルでもこういった仕様にしていたところに当時のブローバの心意気を感じます。
のちにスイスはもちろん、日本製の時計でも石数の多さで高級品であることをアピールするようになったりしますが、手巻き式にもかかわらず、まったく意味のない歯車に何個もルビーを埋め込んだ30石なんてモデルなんかも登場します。正直馬鹿げているとしか思えませんが、それもかつての流行だったと思えば、それはそれで面白いと思えるものの、やはり利益を生むことだけが優先されるようになった結果なのだという気がしてなりません。
いずれにしても、こういうブローバなんかはそれほど高額じゃありませんので、あまり気にせずガンガン使うのもアリなんじゃないか、などと考えたりもします。もちろん完全な非防水なので、直接水に濡らさないように注意すべきですが、あえてワイルドに使うのも悪くないかも知れませんねぇ。汗や湿気、強い衝撃に注意さえすれば、全然フツーに使えますから、こういうタイプの時計こそもっと気軽に使って欲しいものです。ふと、そんなことを思う10月最後の今日です。
そういえば、ルー・リードが亡くなったそうですねぇ。アメリカのロックミュージシャンの中では独特の存在でした。1980年代に日本のミュージシャンも出演するフェスが神宮球場で開催されて、その模様がテレビで放送されましたが、当時その映像を観たワタクシにはこの人の良さはまったく理解出来ませんでした。"The Velvet Underground"での活躍も忘れてはいけませんが、やっぱりこの曲でしょうか。「ワイルド・サイドを歩け」っていう邦題もイカしてます。囁くような歌声、詩の世界観。ヒップホップなんかでサンプリングされたりしているのも頷ける不思議なグルーヴ感のある曲です。
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早いものでもう10月も終わりに近づいています。いつまでも夏のような天候でしたが、さすがにだいぶ涼しくなってきました。それにしても今年は台風に翻弄されていますねぇ。ふたつも台風が日本に近づいているとのことでかなり警戒モードでしたが、本州直撃は回避されたものの、今日は結構な寒さですし、雨も激しく降っています。早くスカッと秋晴れになってもらって爽やかな空気を感じたいものです。。。
書きたいことは山ほどあるので、ブログの更新ももうちょっとマメにやろうやろうとは思いつつ、いつも通りついつい放置してしまいがちですが、たまにはここで代官山にあるナイスなお店を紹介させていただこうかと思います。代官山というところはとても珍しい形で発展してきた町でして、住宅の中にこじんまりした店舗が点在しています。東横線で渋谷からひと駅ですが、渋谷から歩いてもたいした距離ではありませんし、恵比寿や中目黒といった周辺の駅からも徒歩で来られるような立地です。ウチの店へ訪ねて来るお客様にうかがうと来る時は代官山からやって来て、帰りは恵比寿や渋谷まで歩くなんて方が多いようで、結構みなさんそれぞれのお気に入りコースがあるみたいです。
旧山手通りの方に古くからあるヒルサイドテラス、代官山アドレスやラフェンテをはじめ、蔦屋のT-SITEなど、大型の商業施設もありますが、当店のような小さな店舗があちこちに点在しているところが特徴です。バラバラなので、効率よくお店を見ることが出来ないかも知れませんが、その代わりブラブラ散歩がてら歩いている途中で面白いお店を発見したり・・・なんてことも多いですし、実際個性的なお店がたくさんあります。
そこそこ長いこと代官山で商売してきているので、ナンダカンダで近隣のお店の方々との交流も増え、たくさんの人と知り合いました。そんな中、親しくなった人がやっているお店のひとつが代官山の駅のすぐそばにあるハンバーガーのお店"SASA"です。この写真に写っているバーガー、どうですか?正直、今この写真を見ているだけでヨダレが出てきます。ベジタリアンの方には申し訳ありませんが、そりゃもう激ウマです。
ホントは週イチくらいのペースで食べたいくらいですが、美味いものほど高カロリーなもんで、普段はあまり食べに行きませんけど、ちょっと前ムショーに食べたくなり、久々に食べてきました。やっぱりおいしかった!マクドナルドなんかも決して悪くありませんが、こういったこだわりのハンバーガーもたまりませんねぇ。アボカドバーガーがお気に入りですが、あえて基本のチーズバーガーをチョイス。やっぱりバーガーとコーラの組み合わせは最強だってことを再認識しました。。。
当店にお越し下さる方々はウチの店を覗いたら、そのまますぐ帰ってしまう方も少なくないかと思います。修理のご依頼だったり、修理品の引き取りにいらっしゃるなんて方々も用事が済んだら、そのまま駅へ直行なんてことも多いと思いますが、たまには周辺のお店にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか?代官山に来た時にガッツリ食べたいなんて時にはナイスなハンバーガーショップ"SASA"がおススメです。是非どうぞ!
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あっという間に9月も終わり、10月になってしまいました。半沢直樹もあまちゃんも終わってしまいましたが、どちらもドハマりしていたワタクシはすっかりさびしい毎日を過ごしています。さて、今年もあと3か月。毎年のことですが、時間の経過の速さについていけません。ここ数年やたらと風邪をひくようになってしまい、しょっちゅう具合が悪くなっていますが、正直そんな自分の免疫力の低下に辟易しています。どっちつかずの気候が続くこの時期は注意しないとすぐやらかすことになりそうなので、気を引き締めたいと思います。
ところで、前回ここでネタにした「マッピン&ウェッブ」の時計を店頭でご覧になる方が何人かいらしたのですが、ふと「これと似たような雰囲気の角型のイリノイがあったような。。。」と思い出しました。そこで、当店のバックヤードにある巨大金庫の中を一日がかりで捜索してみるとやっぱり見つかりました。それがこのレクタングル。大体1920年代後半のものです。
この"ILLINOIS"という時計メーカー。全然聞き覚えがないなんて方もいるかも知れませんが、由緒あるアメリカのメーカーでして、鉄道時計の世界では超メジャーな名品も多数あるので、懐中時計がお好きな方々にとってはお馴染みだったりします。そんなこの「イリノイ」というブランドですが、腕時計の数はそれほど多くありません。というのも腕時計がポピュラーになってきて、ある意味で全盛期を迎える1940年代にはとっくに消滅してしまっています。
いわば星くず系時計メーカーなのですが、ワタクシの記憶が正しければ、あのハミルトンに吸収され、確か1933年にはブランド名も完全になくなってしまったはずです。ハミルトンがのちにベンチュラなどに搭載されることになる「エレクトリック500」といった革新的なムーヴメントの開発まで行うようになり、米国で最大の時計ブランドとしての地位を確立した背景にはイリノイと合併したことで高い技術力を得ることが出来たという経緯がそもそも大きく関係しているなんてことも言われたりします。まぁ、その辺りの詳しい部分は実際にはよく分かりませんけど、とっくの昔になくなっているなんていうブランドほど魅力があるような気がします。いずれにしても実にロマンチックじゃないでしょうか。ちなみに前出の「星くず系時計メーカー」とはすでに存在していないメーカーを夜空に輝く名もない無数の星に例え、ワタクシが勝手にそう命名しました。
この写真のイリノイはホワイトゴールド張りのケースにラウンド型の手巻きムーヴメントを搭載したモノでして、外観上の最大の特徴は通常6時の位置にレイアウトされるスモールセコンドが9時の位置にあることでしょうか。これはポケットウォッチの時代からの名残だったりします。別に機能上どうってことはありませんが、デザイン的に他ではあまり見ない仕様なので、ちょっと魅力的じゃないでしょうか。内部に目を向けると結構きれいな仕上げが施されていて、見た目もなかなかのもんです。このムーヴメントはブリッジ全体がストライプ仕上げになっているので、ちょっとスイス製っぽい雰囲気ではありますが、どことなく趣が異なります。他にも驚くほど複雑な模様が描かれているムーヴメントもあって、イリノイの時計は中身もユニークなのです。
もうずいぶんと前になりますが、当店ではこのイリノイを積極的に取り扱っていた時期がありました。とても興味深い時計なのですが、知名度、人気はあまりありません。現存数が少ないことや大変個性的なところに注目して、一時期は結構な数を収集していました。ところが、結局のところ世間的に人気がありませんので、それほど売れませんでした。でも、入手しづらいし、まともなコンディションのモノはどんどんなくなっていきますから、販売するのはもったいないと思うようになり、それに「どうせ売れないだろうし。。。」とその後はそれらの一部を保存することにしました。そして、そのひとつがこの角型だったりするワケです。
一般的な評価からはちょっと外れるけど、魅力的なイイ感じの古時計を紹介したいとは思いつつ、誰にも分かってもらえないようなモノばかり並べていても商売になりません。元々売れ線の時計ばかり扱う店ではありませんが、適度に人気あるモデルも扱いつつ、ちょっとマイナーでもシブい良品も並んでいる。そんなバランスを取りつつ、当店なりの絶妙なサジ加減でイイ雰囲気の時計を集めるように心がけているつもりです。とはいえ、なかなか難しいもんですねぇ。多少でもニーズがあるようなら、またイリノイの時計を仕入れてみようかなんて思ったりする今日この頃ですが、なんせ結構古いモノなので、オリジナル性はあまり期待出来ないかも知れませんねぇ。今後はちょっと意識してみるかも知れません。。。
イリノイといえば、もちろんアメリカの州のひとつですよねぇ。そして、イリノイ州といえば、最大の都市シカゴ。以前はシカゴへも仕入れの旅で行ったりしたものです。最後にシカゴにちなんだ曲をおひとついかがでしょうか。伝説のミュージシャン、ロバート・ジョンソンがオリジナル。映画「ブルースブラザーズ」の後半のコンサートのシーンから"Sweet Home Chicago"をどうぞ。ミュージカル的手法で音楽と笑いが完璧に融合した名作だと思います。ダン・エイクロイド扮するエルウッドの動きがたまりませんねぇ。「ゴールデン洋画劇場」でせんだみつおと小野ヤスシの吹き替え版を観たのが最初ですが、いまだにワタクシ的オールタイムベストムービーのひとつです。。。
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