4/06/2013

Where Are We Now?

つい先ほどオメガのスピードマスターが売却になりました。古いムーヴメント"Cal.321"を搭載したタイプではなく、1960年代後半に登場した"Ref.145.022"というモデルです。

そのモデルに搭載されるカム式のムーヴメント"Cal.861"は一般的に評価が低めだったりしますが、ワタクシ的には最強クロノグラフだと考えております。現在もパーツの供給だってありますし、長期間製造され続けている大ロングセラーであることを考慮すれば、どれだけの完成度なのかは言わずもがなです。


年代物の機械式クロノグラフらしい特徴はしっかりと残しつつ、上手に合理化を実現しているところが実にお見事です。外装のデザインも含め、やはりオメガを象徴する最強のアイコンだと言えるのではないでしょうか。

当時は手巻きから自動巻きの時代へと移行するタイミングでもあり、またオメガはスピードマスターMARKIIやシーマスター、フライトマスターを含め、他のバリエーションに力を注いでいた時代でもあったため、このノーマルのスピードマスターの製造は少なかったようです。

そんなワケでいざ探すと実は意外と見つかり難いこのモデル。なんとご購入下さったのは外国人の旅行者の方でした。しかも、おフランスの方。こんなこともあるんですねぇ~。

パリ在住のピエールさん(仮名)は奥さんのフランソワーズさん(仮名)と観光で東京に滞在中。数日前にも一度当店へご来店いただきました。イイ感じに色褪せたベゼルがなかなかイカしているGMTマスターを着け、ガイドブック片手に訪れた代官山でたまたまチョロっと寄ってみたといった雰囲気で、その時はまさか本当に買っていただくことになるとは思いもしませんでした。

海外で売られている古時計がすべて良品で、しかも安いものとは限りません。特にフランスの相場などは理解しかねるような高額のものが多いといった印象もあり、実際ピエールさんも「パリのヴィンテージウォッチは高いからねぇ」なんておっしゃっていました。

すでに海外と日本国内の評価が一致しないようなパターンも少なくありません。後々のメンテナンスのことなどもあるので、本当は日本のお客さまに買っていただきたいと考えていますが、すべて一期一会の縁あってのもの。国籍など関係なく、ナンダカンダで収まるところに収まるものです。

そんなピエールさん。店内に流れているBGMに気付かれ、ワタクシにこう訊ねてきました。

「これ、デヴィッド・ボウイの新しいアルバムじゃない?」

ちょうどここのところ、当店ではリリースされて間もない"The Next Day"のCDがヘヴィローテーション中です。そんなことにもイチ早く気づくあたり、ちょっとニクイじゃありませんか。ボウイ好きなのかどうかとか、その辺の突っ込んだ話は出来なかったのがちょっと心残りです。

とにかく、ピエールさん、是非大切にスピードマスターを可愛がってやって下さい。。。





ただいまドハマり中のデヴィッド・ボウイのアルバムの中から一足先に発表されていたこの曲をお楽しみ下さい。10年ぶりとなる今回の作品。まさにカムバックってことになりますが、実にボウイらしい雰囲気が全編漂う、いいアルバムでした。特にこの曲にはハートを鷲掴みされています。表舞台にいっさい出なくなり、重病説などもあっただけにうれしい限りです。





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