7/12/2014

Constellation vs Conquest

かつてのオメガとロンジンといえば、どちらもスイスの代表的な時計メーカーのひとつですが、いくつもの共通点があったように感じます。いずれも古くから量産体制を整え、世界各国へバンバン輸出していました。規模的にはオメガの方がちょっと大きかったかも知れませんが、どちらもムーヴメントを自社で開発し、製品のランクというか、グレード的にもかなり近い存在だったと思います。実際、現在の評価もわりと似ていると思います。

いずれにしても、ある時期まではある種のライバル関係にあったのではないでしょうか。どことなく似たようなポジションだったとでも言ったら良いのでしょうか、とにかく両社ともに意識し合っていたのは間違いなさそうです。独自の美学のようなものが強く感じられるところは他のメジャーブランドにも言える部分ですが、オメガとロンジンの二社についてはなにか因縁のようなものすら感じます。


現在はどちらもスウォッチ・グループに属していますが、オメガの方がちょっと上でロンジンの方がやや低いランクづけになってしまっているようです。なんとなくその状況に納得出来ないところもありますが、大昔から続く両社の熾烈な戦いの末、現在があるんじゃないかと思うとちょっとロンジンが可哀そうになってしまうのはワタクシだけでしょうか。


まぁ、とにかくそんなオメガとロンジンのライバル関係を象徴する時計がオメガの「コンステレーション」とロンジンの「コンクエスト」だと思います。


1952年に登場したコンステレーションは手巻きムーヴメントの時代からオメガがこだわり続けたクロノメーター仕様の高級機種として今日に至るまでオメガを代表するモデルとして存在し続けています。コンステレーションの登場以前には「センテナリー」というモデルがありましたが、そのスタイルを踏襲しつつ、さらに特徴あるスタイルに仕上げたのがコンステレーションでした。文字盤の中央が盛り上がっていて外周には存在感のある太めのクサビ型インデックスをデザインし、ミニッツトラックはインデックスの内側にプリントされています。その文字盤のデザインに合わせて針をやや短くデザインしている点が外観上の大きな特徴です。

最初期のものはいわゆるバンパー式のムーヴメント"Cal.354"を搭載したモデルでしたが、のちに全回転式の500番台のムーヴメントを搭載するようになります。その後も時代ごとにデザイン、ムーヴメントともにアップデートされていきますが、いずれも常に「コンステレーションらしさ」が感じられる点がポイントだったりします。数多く存在しているコンステレーションですが、その中でもこの画像のタイプは最も代表的なもののひとつではないでしょうか。唯一無二の存在感は登場から半世紀以上経った今でも十分過ぎるほどの個性を持ち、輝きを放っています。


一方、ロンジンが手がけたコンクエストは1954年に登場します。コンステレーションの登場から2年後ということになります。オメガがコンステレーションで打ち立てたコンセプトをまんま踏襲したスタイルなのは言わずもがなです。コン~というネーミングにはじまり、太めのインデックスや短めのドルフィン針、特徴ある形状のリュウズなど、デザイン的にも恐らくコンステレーションを強く意識していたであろうルックスです。

1950年代といえば、それまで主流だった手巻き式ムーヴメントの時代から完全に自動巻きの時代へと移行するタイミングです。すでに1940年代には自動巻きが登場してますが、本格的に普及するのはやはり1950年代だと言えます。ロンジンも技術力があり、非常に硬派な時計メーカーだったように感じますが、この時期から徐々にオメガとの差が出始めていたのではないかと思えて仕方がありません。


オールドのクロノグラフの世界でロンジンの評価が大変高いことはここで今さら言及するようなことではありませんが、そのロンジンも一般的に3針の自動巻きムーヴメントのジャンルではあまり評価されていません。

このコンクエストに搭載されているムーヴメント"Cal.19AS"などは決してチープな作りだったということはなく、
むしろ質実剛健な古くからのロンジンらしい作りがそのままだったりするのにあまりその良さが認知されていません。なぜでしょうか?

直自動巻きユニットの構造などを考えるとメンテナンス性の点ではオメガの方が優れていると認めざるを得ませんが、こも世界ではそういうことだけで判断出来ないところもありますし、本来であればこの辺りの自動巻きのロンジンももうちょっと人気が出ても良いような気がしますし、ワタクシ的にはロンジンびいきなところもあるので、なんとなくもうちょっと注目してあげて欲しいなんて思ってしまいます。

とはいえ、ロンジンもそののちに振動数の高いハイビート・ムーヴメントを積極的に手がけるようになり、ウルトラクロンなどの大ヒットする機種も登場しますが、ロービートの時計ばかり愛される風潮が強いせいか、その辺も現在のロンジンの自動巻きムーヴメントのジャンルでの不人気につながっているように感じます。やっぱり二匹めのドジョウだったロンジンはオメガに負けてしまったということなのでしょうか?まぁ何とも言えませんが、オメガとロンジン、それぞれのアイデンティティも時代とともに変化していったことが良く分かります。

それにしても、かつてライバル関係にあったであろうこのふたつの時計が今こうして仲良く並んでいる姿を見ると、どことなく微笑ましい気分になってきます。オメガのコンステレーションも素晴らしい腕時計だと思いますが、ロンジンのコンクエストだって間違いなく魅力的な時計だと思います。今年は登場してから、ちょうど60年のアニバーサリーイヤーなんですねぇ。このオリジナルコンクエストの方もいざ探すと意外と玉数が少ないので、貴重です。やっぱり、どちらも名品です。。。







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